ようこそ「Tokyo Chitlin' Circuit」へ!


ファンクバンドFREEFUNKと音楽ライター池上尚志が共同で主催をするライブイベント「Tokyo Chitlin' Circuit」にようこそ!
Funk/Soul/Blues/Jazzなどをルーツミュージックに活躍するアーティストを広く紹介していきます。

2012年8月20日月曜日

JAYE公山インタビュー

 関西にはブルースやソウルの伝説的なミュージシャンが多い。知る人ぞ知るといえば簡単だが、地元のライヴハウスなどを中心に、長きに亘って地道に活動してきたその実力は直に触れた者にしか分からない。そして、そういった人たちの活動は、関東では意外と知られていない。
 その中の1つにHUMAN SOULがいる。関西のミュージシャンなら知らない人はいないだろう。しかし、残念ながら関東ではその凄さがきちんと理解されているとはいい難い。清水興のベースを中心に、ハスキーでヘヴィーなJAYE公山と軽やかなファルセット使いのシルキー藤野のツインリードが華やかに彩る大所帯のソウルバンド。音楽的にはブラコン~ファンクあたりのサウンドだが、歌謡曲的要素を一切排してメジャーデビューしたソウルバンドは日本では彼らが最初だろう。

 さて、そのJAYE公山が今回のゲストである。日本人でこれだけディープに歌えるシンガーを僕は他に知らない。その声を活かしてゴスペルからソウル/ファンクまでを歌い、シンガーとしてだけでなく、自ら数多くのイベントも仕切ってきた、日本のブラックミュージック・シーンのキーパーソンの1人だ。ゴスペラーズ周辺でもよくゲスト参加やバックコーラスなどをしているので、知っている人も多いだろう。確かな歌唱力に加え、関西人ならではの笑いを取りまくるトーク、必ず「どこで買ってきたの?」と訊かれる衣装と、観客の心をガッチリ掴むステージングは、関西シーンのディープさを教えてくれると共に、日本のソウル・ミュージックもここまできたかと思わせるレベルの高さを見せてくれる。

 今回のインタビュー、意外と知られていないこれまでのキャリアを振り返っていただこうと思ったのだが、JAYEさんが関西在住ということもありなかなかタイミングが合わず、結局、某ライヴの打ち上げの席での強行インタビューとなった。が、始めてすぐに次の店に移動ということになり、残念ながら10分程度でインタビューは終了。もっと聞きたいことがたくさんあったのだが、この続きはまた機会を見てやりたいと思う。なお、JAYEさんの発言は関西弁のイントネーションで読んでくださいね。

TEXT:池上尚志




ーー今日はJAYEさんのキャリアを振り返っていただこうと思うのですが、まず、音楽をやるようになったきっかけから教えてください。
「13~14歳の時にカーペンターズとかエルトン・ジョンとか、ビートルズ聴いて、自分でギター弾きながら歌ったのがきっかけなんですよ」

ーー59年生まれですよね。
「そうです。そうです。それで、アメリカのポップスが好きなんやなぁってのに気がついて、ブルースも好きなんやってことに気がついて、それが高校1年生くらいですかねぇ。中学2年くらいのときにドラム叩いてたんですよ。プロのデビューは16(歳)くらいの時にドラマーとしてデビューしてて。17~18の時にヴォーカルに転向して、そんときはもうブルースが好きやったんです。ブルースの流れにゴスペルやリズム&ブルースがある。ブルースから派生する音楽ね。それに勘づいて、いちばん最初はBBキングとかアルバート・キングとかTボーン・ウォーカーとかそういうの聴いてたんですけど、オーティス・レディングを聴くようになって、オーティス・レディングからサム・クック知って、サム・クックからゴスペル知ったんですよ」

ーーそれは10代の頃ですか?
「18ぐらいですかね」

ーー今の感覚だと早いですよね。
「めちゃめちゃ早いでしょ」

ーー当時でも周りにはいなかったですか?
「まったくいなかったです。自分がゴスペルを聴き始めたのが18ぐらいのときやったんですけど、(当時は)ゴスペルって言葉が(知られて)なかったんですよ。だから、そういうの扱ってる割とディープなレコードショップで買うたりとか、そういうレコード集めてる人と文通して交換したりとか、アメリカ行ってレコード買ったりとか、そういうことしてました。すっごい苦労しました。自分の好きな音楽のソースを集めるのに」

ーーそこからHUMAN SOULまではどんな活動をしたのですか?
「ファンクバンドを19~20歳くらいのときからやってて、10年くらい小ちゃいライヴハウスで歌ったりイベント自分でやったりして、ファンク系の音楽をずっとやってました。ファンクがメインだったんですよ。24くらいのときにシルキー藤野と知り合って、それから清水興と知り合って。ちょうど清水興がNANIWA EXPRESSを一度解散した時で、それでSOUL EXPRESSっていうソウルをやるバンドをやれへんか言われて誘われて、歌いに行ったんがきっかけでソウルをやるようになった。で、東原力也が抜けてジミ橋爪がはいってHUMAN SOULになったんです。それが1987年とか8年とかそんくらいですかね。27~8くらい」

ーーその頃、いちばん影響された人は誰ですか?
「あ~、キャメオとか、オゾンとか。オゾンていうモータウンから出てるファンクバンドがあるんすよ。すっごいディープなファンクバンドで、あんまり売れてないんですけど。(キャメオは)ちょうど「キャメオシス」出たときくらい。あとはBRICK、ZOOMとか、L.A.Connectionとか、あんまり人が聴かないような(笑)相当ディープなレコードをアメリカ行って探してきたり、人から譲ってもらったり、ファンク好きな人と交換したりしてやってましたよ」

ーーシンガーとして影響受けた人は?
「それはね、やっぱレイクサイドのマーク・ウッズ、それから、ザップのボビー・グローヴァー」

ーー珍しいですね。
「めちゃくちゃ珍しいでしょうねぇ。でも、いちばん受けたのはサム・クックです」

ーーアポロ・シアター(のアマチュア・ナイト)はHUMAN SOULで出たんですか?
「そうですそうです。シミちゃん(清水興)とシルキーとおれと3人で出たんです。おれとシルキーが歌でシミちゃんコーラスでみたいな感じで3人で出ました。向こうのバンドが演奏してくれて。歌った曲は「Me And Mrs Jones」で、向こうで言うたらすごく有名な曲だから、もう目つぶっても演奏できるくらいの曲なんで」

ーーそれって逆に恐いですよね。
「ま、確かに。外国人が日本に来て、それこそ「銀座の恋の物語」歌うようなもんですからね」

ーーそれでグランプリを取ったんですよね。その時の反応ってどんな感じだったんですか?スタンディング・オベーション?
「そうでした。凄かったですけど、アポロ・シアターに出れたっていうことのね、そのことの方が自分にとっては価値があることやったんで。出してもらえたってことは嬉しかったです」

ーーアポロ・シアターはどうやって出るんですか?
「オーディションを申し込む用紙があって、それで申し込んで、月曜日の朝10時からアポロシアターの3ブロック先にブラックカルチャーセンターゆうのがあって、そこでオーディション受けられるんすよ。まぁ、ほとんど落ちますけどね。もう、朝行ったら100組くらい並んでましたけどね」

ーー新人の登竜門ですもんね。
「そうです。特に自分らが出た時は89年って、日本人がハーレムに近づけない雰囲気でしたから。治安悪かったんで。道歩いてたら子供がバールで車のキーをこじ開けたりしてハンドル盗んだりしてたり、10歳くらいの子供が拳銃持ってたりするんすよね。だから、とてもじゃないけど日本人は近づけなくて、80年代ってアポロシアターに出た日本人ってほとんどいなかったんですよね。その頃はね、みんな(アポロ・シアターのアマチュア・ナイトを)あんまり知らなかったんで、後からまぁちょっと話題にはなりましたけど」

ーーニューヨークの市長がジュリアーニ(凶悪犯罪を一掃して、ニューヨークの治安改善を進めた)になる前ですね。
「そうそう。すっごい治安悪かったですよ。恐かったですよ。だけど、自分たちはアポロシアター知ってたんで、やっぱり出たいなぁゆうの前から思ってたんで。ほんとにそれこそ記念碑的な思いで行ったんで、そこでグランプリ取ろうとかそんなの一切考えてなかって。取ったら取ったでアメリカのレコード会社からスカウトが9社くらい来て。アトランティックとかRCAとか来ました」

ーーその話はまとまらなかっんですか?
「いや、あのね、条件がすごかったんですよ。9割向こうで1割こっちみたいな、タコ部屋みたいな契約条件で。でも、最初はみんなそんなんなんですよ。当時、ソウル系でアメリカで日本人が演奏して歌って受け入れられるなんて誰も想像してないし、でも自分たちは受けたからやれるかなぁって思ったんですけど、日本でデビューが決まってたし、自分たちは日本でやった方がいいって分かってたんで」



 と、これからHUMAN SOULからREAL BLOOD、ゴスペルでの活動などについて聞こうと思っていたら、次の店に移動することになってしまった。ちょうど面白い話になってきたところだったので残念至極。
 以前、「ORITO TRIBUTE」の時も「I'm Yours」なんていうベタベタなサザンソウルのバラードを嬉々として歌っていたJAYEさんだけに、どうしてもサザンソウルやゴスペルなどのディープな歌ものが得意という印象があるのだが、ファンク系からの影響はなかなか興味深かった。今回FREEFUNKというファンクバンドと共演するにあたって、いいヒントになるだろう。

 日本人が本格的にソウル・ミュージックをやることがまだ無理だと思われていた時代に、現在でも他の人が成し遂げられないような金字塔を打ち立ててしまった人。ソウルやゴスペルが好きな人、特に自分で歌っている人ならばJAYEさんのヴォーカルやステージングは是非とも一度体験してほしいと思う。



08/26/2012 (Sun) 高円寺Jirokichi
Tokyo Chitlin' Circuit & Soul Togetherness Joint
JAYE & FREEFUNK

<charge>
前売 3500yen + オーダー
当日 4000yen + オーダー

<time>
open 18:30 / start 19:30

<出演>
■JAYE公山(vo)

■Sista Mei-Me (vo)

■FREEFUNK
艦長 (vo&g) ウラッチ(ds) SAMMY (key&vo) 遊佐真悟(b)
タイラー(t.sax) シバケン(b.sax) ESP (tp)
Momoka (vo) コーヘイ(vo)

2012年1月14日土曜日

1/7/2012 Tokyo Chitlin' Circuitより

先日開催したTokyo Chitlin' CircuitライブよりFREEFUNKのライブ映像です。



以前にもこの曲はアップしていますが、ベースがリッキーさんに替わって、だいぶいい感じにこなれてきました。
遊佐君の時ともグルーブ感が変わってるのが、分かるかと思います。

プレイヤーの個性によってバンドの演奏が色々変わる好例の一つかも。

2011年11月24日木曜日

2012年最初のTokyo Chitlin' Circuit開催!

更新が久々となってしまいましたが、
FREEFUNKと音楽ライター池上尚志がお届けするライブイベント
「Tokyo Chitlin' Circuit」第5弾開催決定!

今回はTOMMYさん(Vo)をスぺシャルゲストに迎えます。
数多くのレコーディングやセッションでも活躍され、ご自身のバンドでも活動をされているTOMMYさんとの共演がついに実現しました。

TOMMYさんは今年発売されたORITOトリビュートライブアルバム
「ORITOトリビュート〜また君に感謝しなくちゃね〜」
にも参加されており、東京渋谷でのライブでは一緒に出演させてもらいました。

今回はガッチリと共演をさせていただくという事で、とても楽しみです!

共演グループにはアカペラコーラスグループLabradoriteが参加。
こちらは池上君が声をかけてくれたグループで、コーヘイ君や桃花さんが参加しているグループです。
YouTubeでの映像もいくつか観させてもらいましたが、ヒューマンビートボックスも含めた編成で、とてもカッコいいグループでした。
個人的にはコーヘイくんと一緒にやるのも久々なので楽しみです。

勿論ハウスバンドはおなじみ星川薫BANDとFREEFUNKで、
Soul、Funk、Blues、Jazz等愛すべきルーツミュージックに満ちたライブを展開!
新年早々、いきなり濃厚なイベントになりそうですが、
実は成人の日までの3連休初日という、なかなか最高なタイミングです。
今年成人の若者も、2度目、3度目の成人を迎える(?)ベテランな皆さんも
一緒に盛り上がりましょう!

TOKYO CHITLIN' CIRCUIT
at Jirokichi Kouenji

charge 2700yen + order
open 18:30 / start 19:00

<live>
■星川薫BAND
星川薫(g)中道勝彦(key) 村上こうよう(tb) 六川正彦(b) 河合洋(ds)

■FREEFUNK
艦長 (vo,g) Sammy(key) リッキ−(b) ウラッチ(ds)
タイラー(t.sax) シバケン(b.sax) ESP(tp)

■Labradorite

<special guest>
TOMMY (vo)

2011年9月20日火曜日

09/17 Tokyo Chitlin' Circuit終了!

9/17(土)に開催した
Tokyo Chitlin' Circuit Vol.4
ご来場の皆様、
ありがとうございました!

今回はゲストバンドに
the Marddies
スペシャルゲストに
ミトカツユキさんを迎え
これまた盛り上がりました

the Marddiesは、
紅一点ボーカルの
みずきさんの歌
凄く良かった!
バンドもトリオ編成で
バッチリなサウンドでしたよ

ミトカツユキさんとは
我々は3曲演奏させてもらいました
I Wish (Stevie Wonder)
Just The Two Of Us (Grover Washington Jr.)
September (Earth, Wind & FIre)
といずれも
ミトさんのルーツとなるソウル/R&Bの名曲ばかり

FREEFUNKとしては
EW&Fの曲を演奏するというのは
ある意味新鮮なチョイス
うまい喩えが見つからないけど
ドリフがタケちゃんマンのネタをやるような
そんな楽しい違和感(笑)

Twitterでも少し呟きましたが
ライブ直前にアル・マッケイのライブ観たりして
感激してましたけどね!

ミトさんの魅力はやはり
上記のような名曲も
自分の歌にしていける個性と
シンガーが弾く歌心あるキーボード
その一体感!

FREEFUNKのキーボーディスト
Sammyも申していましたが
ツインキーボードというのも
非常に楽しかったです

トリを飾った星川薫BANDは
今回は全曲カバー
イナタイ、Jazz Funk路線出しまくりで
やっぱりカッコ良かった!
こちらはもはや何をやっても
完全自分たちのフィールドに持ち込める
横綱相撲の風格!

星川さんの
グレコのセミアコと
エルクのアンプの組み合わせが
信じられないぐらい最高の音色だった!
ジャパニーズ・ソウルギターと
言うに相応しいサウンドでしたね

そんなわけで
毎回楽しいライブに仕上がってますんで
まだTokyo Chitlin' Circuitに
来た事が無いという方も
是非遊びにきてください
勿論普段のFREEFUNKや
星川薫バンドなどにも是非!
おもてなしいたします

<09/17/2011>
FREEFUNK setlist
01. One Plus One Is One
02. 大丈夫大丈夫 (ORITOカバー)
03. Attention Please
04. Mothership Connection (Parliamentカバ−)
05. I Wish (Stevie Wonderカバー w/ミトカツユキ)
06. Just The Two OF US (Grover Washington Jr.カバー w/ミトカツユキ)
07. Septrember (Earth Wind & Fireカバー w/ミトカツユキ)
08. Funkin' For Fun (Parliamentカバー)
09. 自由自在


送信者 FREEFUNK艦長の航海日誌

2011年9月16日金曜日

「Tokyo Chitlin' Circuit Vol.4」明日です!


やばい。ろくに告知しとらん。

そんなわけで、「Tokyo Chitlin' Circuit Vol.4」は明日です!

イベントとしてはどんどんいいまとまりをみせてきています。
少しずつ方向性が見えて来たっていうかね。


スペシャル・ゲストにはミトカツユキさん。
2007年にメジャーデビューしたファンキーな歌うピアノマン。
ゴスペルタッチの曲も得意みたいです。
最近はナオト・インティライミさんのサポートとしても活躍中。




イベントのオフィシャル・ブログにミトさんのインタビューを掲載したので、ぜひご覧ください。
http://chitlincircuit.blogspot.com/2011/09/blog-post.html


もう一組のバンド枠には、the Marddiesが登場。
元アンナリズムのみずきさんとベーシストのアラトさんの新バンド。
みずきさんはまだ若いのに、パワーと繊細さを兼ね備えたソウルフルなシンガー。
注目です。







そして、いつものFREEFUNKと星川薫バンド。
またまたやんちゃしてくれるでしょう!


USTREAMなどの中継もありません。
たくさんのご来場をお待ちしております!


【Tokyo Chitlin' Circuit Vol.4】

09/17/2011
Open 18:30 / Start 19:00
Music Charge: 2700yen

FREEFUNKと池上尚志主催「Tokyo Chitlin' Circuit」第4弾開催!
Funk/Soul/Blues/Jazzをルーツに持ったプレイヤー、バンド、シンガーによるライブミュージックパーティです。
ホストバンドは恒例、星川薫BANDとFREEFUNK。
スペシャルゲストには、ミトカツユキ(vo & key)を迎え、ソウルフルな熱いライブをお届けします!


ミトカツユキ profile

1978年 北海道出身。リスペクトするブラックミュージックとJポップスを融合し、温もりと遊び心を持ち合わせたサウンドで普遍の自由・愛・感謝を歌う。
06年メジャーデビュー。07年「キミがいれば」(BMGジャパン)では全国FM34局のパワープレイを獲得するなどその音楽性は高い評価を受け、
アルバム「THE PIANO MAN」に結実。ライヴでは圧倒的かつ繊細なヴォーカルとピアノ・パフォーマンスが魅力のシンガーソングライター。
現在、楽曲提供やプロデュースワークでも幅広く活動中。

<live>
■星川薫Band
星川薫(g)中道勝彦(key) 村上こうよう(tb) 六川正彦(b) 河合洋(ds)
星川薫 HP
http://homepage.mac.com/hidee3/

■FREEFUNK
艦長 (vo,g) 芽芽(vo) Sammy(key) リッキ-(b) ウラッチ(ds)
タイラー(t.sax) シバケン(b.sax) ESP(tp)
FREEFUNK HP
http://www.freefunkmusic.com/ja/index.html

■the Marddies
みずき(vo) アラト (b) 瀧元寛太 (ds) 堀崎翔 (g)
みずきさんのブログ
http://ameblo.jp/mizuki0424/page-1.html#main

■special guest: ミトカツユキ (vo,key)
ミトさんのブログ
http://mito310.seesaa.net/

2011年9月15日木曜日

ミトカツユキさんインタビュー

 さて、イベントを明後日に控えとギリギリのタイミングになってしまったが、ゲストのミトカツユキさんのインタビューをご紹介しよう。そのファンキーな人柄と音楽性などが伝わると思う。



 「Tokyo Chitlin Circuit」第4回目のゲストは、ピアノで歌うソウルマン、ミトカツユキさん。ピアノを弾きながらソウルフルに歌うシンガーソングライターだが、アッパーな曲はファンキーに、スローではゴスペル風の荘厳さでと、自然とブラックミュージックのフィーリングが滲み出てしまう、根っからファンキーなアーティストだ。



 ミトさんは1978年生まれの現在33歳。2004年に「KAGERO」インディーズデビュー。2007年には「39」でメジャーデビューを果たす。現在は「毛蟹ソウル」という自らのレーベルを立ち上げ、ソロ活動のほか、様々なアーティストのサポート、アレンジの仕事までをこなす忙しい毎日である。


 北海道出身。音楽を始めたきっかけは4歳の頃に始めたエレクトーンで、中学の始めまで習っていたという。中学時代にロックを聞き始めると、ギターを弾き始め、ヘヴィメタルの道へ。このときはギタリストになりたかったというが、ブラック・ミュージックの洗礼を受けると、ファンキーなサウンドへ一直線。ここにソウルマン、ミトカツユキが誕生。18歳の時だ。

「ラジオから流れてきたEarth,Wind & Fireの「SEPTEMBER」を聞いてブラックミュージックにのめり込んだんです。最初はアースをひたすら聞いてましたが、ちょうどその頃にNeo Soul(New Classical Soul)のアーティストも増えてきて、Eric BenetやMaxwell、D'angeloなんかも聞いてましたね」


 高校を卒業すると専門学校に進学し、学校の友達とバンドを結成。アースのカヴァーなどと共にオリジナル曲もやり始める。オリジナル曲はすでに中学生の頃から作っていたというが、今となっては「恥ずかしくて聞かせられまへん(笑)」というようなものらしい。20歳になる頃には、音楽を生業とし、ススキノで札幌在住の黒人ミュージシャンと共に演奏をし歌う日々。その中で、もっとたくさんの人に自分の歌を聴いてもらいたいと、上京を決意。そしてプロの道へ。

「ススキノのバーで黒人さんと一緒に歌うようになってから「フリー」な世界観に惹かれました。普通に歌うのではなく自分なりのスタイル、フレーズなどを使って歌う、どこかエレクトーンのアレンジ即興に似た所があり、好きになったような気がしますね。この頃はソウルの曲をたくさんカバーしてました。モータウン系が多かったかもしれません」


 当時のシーンには既にブラック・ミュージックを指標としたサウンドを看板としたアーティストはたくさんいたのだが、その多くはシンガーであり、ピアノを弾きながら歌う人は少なかったように思う。

「シンガーとして影響を受けたのはやっぱりダニー・ハザウェイかなぁ。言葉ではうまく表現できないんですが、どこか土臭い感じというか、血を声から感じさせてくれるんですよね。僕が一番大事だと思う「リズム」が完璧な人だと思います。日本だと久保田利伸さん、中西圭三さん、女性だと山本潤子さんが大好きです。久保田さん、中西さんはあのリズム感、山本潤子さんは日本で一番声が好きな女性シンガーです。ピアニストとしてはジョージ・デュークですね。色んなジャンルに挑戦していたり、彼の繊細かつ野生的なフレーズが大好きで、自分のキーボードソロで参考にすることも多いです。楽曲面においてはスティービーワンダーです。ボーカリストとしてもすごく尊敬する方ですが、トータルですごいなと思います。なんでそのコードにいくの!?的な転調が随所に張り巡らされているんだけど、全然マニアックに聞こえない。むしろキャッチーに聞こえてしまう。彼の魔法ですよね」

 さらに、実はさだまさしさんが好きだと言う意外な発言も。ソウルとはあまり縁がない人だが、楽曲のキャッチーさと人間味あふれる歌詞の世界観に憧れるという。こんなところに、ソウルだけでなく、音楽をトータルで見る目が隠されているといえるだろう。


 ミトさんはピアノ・プレイヤーとしても、個性的な演奏を聴かせてくれるが、繊細さよりも躍動感、ライヴ感を重視するタイプ。特にライヴ活動が好きというだけあって、リズムだけは絶対譲れないポイントだという。日本人のソウル系のプレイヤーは細かな16ビートを得意とするタイプが多いが、ミトさんは豪快に大きなフィーリングでグルーヴを作って行くタイプ。その場を開放的でハッピーな空気を満たしてくれる。そういう意味ではゴスペルとも共通するような感覚といってもいいだろう。しかし、日本人がブラック・ミュージックのフィーリングを取り入れようとするとき、リズム、ヴォーカル等、様々な壁にぶち当たることも多い。ミトさんはそういうことはなかったのだろうか。

「そんなに苦労したとは思いませんでしたね。好きでのめり込んだ頃は若かったから、アホみたいに何度も歌の真似をしてみたり、フェイクの練習してみたり、もうやだ~~~!!って思った事は一度もありません」


 ミトさんに、ぜひこれを聴いておけという作品を教えてくれと、自らの影響やエッセンスを伝えるようなソウル/ファンク系のアーティストの作品をあげてもらおうかと思ったのだが、僕の説明の仕方が悪かったようで、自らのオリジナル曲の中から選んでくれたので、ここで紹介しておこう。残念ながら僕も全部聴けているわけではないので、断片的な紹介になるのを失礼させていただく。

「Bad」
2005年にリリースされた1stアルバム「Natural Soul」からの曲。

「Crew on the Earth」
2007年のメジャーデビュー作品「39」に収録された曲。アッパーでファンキーなナンバーだ。

「Musiqism」
昨年リリースされたアルバム「ミスター晴れ男」からのオープニング・ナンバー。

「LIFE」
これも「ミスター晴れ男」に収録。スケールの大きなゴスペルタッチのナンバーで、ハレルヤ・シスターズのコーラスをフィーチャー。Youtubeに音源があったのでリンクしておく。ぜひ1度聴いてもらいたい名曲だ。
http://www.youtube.com/watch?v=Sd3GcYL-viM


さて、サポート活動の中で目を引くのが、ナオト・インティライミさんとの活動だ。近年大ブレイクを果たしたナオトさんだが、それ以前からの仲だという。
「もともとは5、6年前くらいにライブで対バンになった事がきっかけで、聞いてきた音楽も似てる所から、意気投合して仲良くなりました。去年から僕が「フリーで活動するんだ~~。」ってあけおめメールしたら、バックでキーボードとか弾くのってあり?ってメールが来て、サポートをすることになりました。彼の音楽は聞いてても楽しいけど、プレイするとその楽しさが倍増しますね」

 自らの活動を
「幅広く"音楽"を楽しんでる感じ」というミトさん。その活動信念とは。

「何を伝えたいかって言うのは、その都度、生きていく中で 変わっていくとは思うんだけど、「ありがとう」と「ハッピー」をぶれずに変わらず伝えていけるアーティストになりたいと思ってます」


 最後に、「Tokyo Chitlin' Circuit」というイベント についてコメントをいただいた。実は、ゲストがいちばんこき使われるという噂があることを、ミトさんはまだ知らない(笑)

「自分の好きなソウル・ミュージックが大好きな人間がこんなにいるんだって思うとワックワクします。ライブでしか味わえない「血や汗」をぜひ体感しにきてください!!」

 そう。「Tokyo Chitlin' Circuit」は、表現の形こそいろいろだが、本当にソウルやファンクなどが大好きな人たちが集まったイベント。そこではきっとまたソウル好き同士の化学反応が起きるに違いない。やる側は本気で楽しんじゃってるので、見に来てくれる皆さんも、負けずに楽しんじゃってくださいね!


TEXT:池上尚志


2011年8月10日水曜日

次回Tokyo Chitlin' Circuit開催決定!

次回のTokyo Chitlin' Circuitは9/17(土)、高円寺Jirokichiにて開催決定いたしました!
今回はスペシャルゲストにミトカツユキさんをお迎えしてお届けします。
熱きソウルを持ったピアノマン、ミトさんとの融合が楽しみです!
詳細は随時お届けします。


【09/17/2011】
Tokyo Chitlin' Circuit Vol.4

Open 18:30 / Start 19:00
Music Charge: 2700yen

FREEFUNKと池上尚志主催「Tokyo Chitlin' Circuit」第4弾開催!
Funk/Soul/Blues/Jazzをルーツに持ったプレイヤー、バンド、シンガーによるライブミュージックパーティです。
ホストバンドは恒例、星川薫BANDとFREEFUNK。
スペシャルゲストには、ミトカツユキ(vo & key)を迎え、ソウルフルな熱いライブをお届けします!


ミトカツユキ profile

1978年 北海道出身。リスペクトするブラックミュージックとJポップスを融合し、温もりと遊び心を持ち合わせたサウンドで普遍の自由・愛・感謝を歌う。 
06年メジャーデビュー。07年「キミがいれば」(BMGジャパン)では全国FM34局のパワープレイを獲得するなどその音楽性は高い評価を受け、
アルバム「THE PIANO MAN」に結実。ライヴでは圧倒的かつ繊細なヴォーカルとピアノ・パフォーマンスが魅力のシンガーソングライター。
現在、楽曲提供やプロデュースワークでも幅広く活動中。

 <live>
■星川薫Band
星川薫(g)中道勝彦(key) 村上こうよう(tb) 六川正彦(b) 河合洋(ds)

■FREEFUNK
艦長 (vo,g) 芽芽(vo) Sammy(key) リッキ−(b) ウラッチ(ds)
タイラー(t.sax) シバケン(b.sax) ESP(tp)

etc...

■special guest: ミトカツユキ (vo,key)